軽自動車の中だけでなく、国産車の中でも圧倒的な悪路走破性を誇るジムニー。ぬかるんだ泥道や岩場なども簡単に走り切ってしまうような動画をよく見かけるほど。
そんな走破性の高いジムニーですが、雪道でも通用するのか。ジムニーの特徴、雪道の種類を踏まえたうえで、実際に秋田県でジムニーに乗っている僕の意見をお伝えしたいと思います。
ジムニーの特徴
何を隠そう、僕は免許を取った最初の冬に事故ったのです。もちろんジムニーのせいだけではなく、雪道に慣れておらず、慢心が出てきていたのも確か。
ですが、悪路最強ジムニーにもウィークポイントがあります。それを知って安全に走ることが大切です。
ホイールベースとトレッド幅
ジムニーのホイールベスは、ほかの乗用車と比べて短いです。僕の乗ってるJB23はこんな感じです。
軽自動車ということもありますが、ショートホイールベースで最低地上高が高いとおなかがつっかえづらくなり走破性が向上。
雪道、特に深雪や車が踏み固めてボコボコになった道では亀の子状態になりずらくスタック予防に貢献してくれます。
ですがメリットだけではありません。ホイールベースが短いクルマほど、スリップをした際にくるくると回転しやすくなってしまいます。
ホイールベースの長いクーペやセダンなどでスリップした際に、カウンターを当てて立て直せるような状況でも、ジムニーだとカウンターを当てる間もなくくるりと回転してしまうこともあるかもしれません。
また、トレッド幅が普通車と比べて狭いです。これは軽自動車全般に言えることですが、わだちとタイヤが合わない問題。わだちをうまく走れず、真ん中に残る雪に乗り上げたりしてしまうと、一気にハンドルを取られてしまいます。
車高
ジムニーの車高の高さも時にはあだとなってしまいます。リフトアップをしてスタビライザーを外しているとこれは余計に顕著になります。
特にカーブにおいて、ジムニーとほかの車のロールを見てみるとよく違いが分かると思いまが、かなり荷重移動が激しいです。この荷重移動はカーブの外側と内側のタイヤのグリップ力にも関わってくるので、気を付けなければなりません。
4WD
冬と聞くと4WDが最強なイメージがありますが、必ずしもそうではありません。もちろん発進、勾配ありでの走行、スタックのしづらさなどではFF・FRとは比べ物にならにならないほど有利です。
しかし一度走り出してしまったらブレーキやカーブなどでは変わらず、逆に4WDであるという過信からついついスピードを出しすぎてしまうことも。さらに一度スリップしてまった場合では、FFやFRの方が制御しにくいといわれています。
また、パートタイム4WDであるジムニーは直結で前後に駆動力を分配します。センターデフがないので、前後の回転差を吸収することができないタイプです。
このため特にカーブなどにおいて、吸収しきれなかった前後のタイヤの回転差は無理な力となってタイヤのかかりそのタイヤは滑り始めてしまうでしょう。ただこの滑りによって各シャフトやトランスファを保護しているのであり、これがタイヤの滑るような悪路での使用を前提としており、乾いたアスファルトなどの路面では4WDにすることが推奨されていない理由でもあるのです。
新型と旧型
ラダーフレーム、パートタイム4WD、リジット指すなど旧型のいいところ受け継ぐ2018年に登場したJB64ですが、そして僕の乗っているJB23やそれよりも前の方のジムニーではまた違います。
JB64は現代の車らしくかなり電子制御が介入してきます。スタック時の空転を抑えるブレーキLSD、下り坂において自動でブレーキを制御してくれるヒルディセントコントロール、横滑り防止装置(ESP)など。
これらをうまく使うことできゅがたジムニーより格段に安全に雪持ちを走行することができるでしょう。
雪道にも種類がある
しかし当然のことながら、一概に雪道と言っても種類があり、それぞれでジムニーの得意不得意、走り方があります。今回は大まかに3つ紹介したいと思います。
新雪路
雪が降り積もったばかりのフカフカな道路です。おそらくこの道路が一番走りやすいのではないでしょうか?
ちゃんとしたスタッドレスタイヤを履いていればしっかりグリップしてくれて前に進みますし、スリップの危険性も比較的少ないです。
しかし、新雪の下につるつるに凍った路面があるときがあるので油断は禁物。ゆっくり慎重に運転するに越したことはないでしょう。
こういった道路ではジムニーでなくとも最近の車だたら普通に走り切ることができると思います。ただ、何十センチというレベルで積もったなら話は別。そうなったらジムニーの本領発揮です。
新雪ならば、上の画像のようにかなり深い雪の中もどんどん押し分けて進んでしまいます。これはほかの車にはできない芸当でしょう。
溶けかかりのシャーベット状の雪道
気温の上がる日中や春先などでよく見るこの道路。完全に溶けて道路が見えてるような場合は大丈夫ですが、雪が残っている場合は要注意です。
所々溶けたようなシャーベット状の雪道。とくに、路面の雪の上に溶けた雪が浮いてるような状況ではその雪事態が動いたり、軽いハイドロプレーニング現象のように接地しにくくなります。
また、前後や左右のタイヤで路面状況が異なるようなことも多く、そのような摩擦係数に差のあるような場面ではつるつるに凍った道と同じくらい危険と言えるでしょう。
またリフトアップをして、キャスター角がそのままのジムニーの場合、直進方向へのモーメントが減少しハンドルを取られやすくなっているので余計に注意が必要です。
圧雪路・アイスバーン
危険でお馴染みの凍結路。ジムニーだけでなくどの車でも恐ろしいこの路面。やはり大切なのは早めに路面状況を察知することでしょう。
真っ白で見えにくい圧雪路、ただ濡れているように見えるミラーバーンやブラックアイスバーン。大丈夫だと思ってスピードを出しすぎる前に路面をよく見て、ハンドルの間隔に気を配ることが大切だと思います。
雪道の走り方
これまでのことを踏まえて、ジムニー乗りは雪道でどんな運転を心がければいいのでしょう。
大前提
どんな車にも言える前提として、スタッドレスタイヤを履く、急のつく運転をしない、スピードは出さない、追い越さない。この4つは絶対です。
前二つはよく言われていることなので割愛します。スピードを出さないに関しては、僕は雪道での最高速度はなるべく50㎞としています。
僕がスリップした時の速度は60㎞。ラリードライバーでもないただの一般人なので正直60㎞で車をコントロールしきれません。50㎞がいいとこだと思い知りました。
そして雪道で追い越さないこと。よく山道で80㎞デブ飛ばしていく人たちを見ますが、怖くて怖くて。問い越すときは当然車線変更をしなければならず、スピードの出た状態で固く盛り上がった雪を乗り越えなければいけません。あまりにも危険です。
事故るより40㎞で走る方が確実に早く目的地にたどり着きます。早く走りたい時は、これを呪文のように唱えながら走りましょう。
- 発進時
ジムニーの得意分野です。4WDにして余裕の発信を見せつけてもよし。FRにして空転を楽しんでもよしです。
- 直進時
とにかく振られないようにしましょう。そしてしっかり轍を踏みに行くこと。ふらつきやすい車ですので、まっすぐだといって安心せずハンドルの感触を確かめながら走ります。
- カーブ
ジムニーの不得意分野。とにかくハンドルを切る前に十分スピードを落とすこと。オーバースピードでカーブに入ると簡単に滑り始めます。
- 制動時
軽自動車の中では重い方。60㎞で走行してるとき、フルブレーキングをかけましたが100mほど滑っていきました。もちろんABSありです。
軽く足を乗せるくらいのブレーキで止まれる距離からかけはじめましょう。
- 停車時
実は走り終わってからも注意が必要。ジムニーのワイヤー式サイドブレーキ。気温の低い日にかけて置いたら凍って解除できないなんてことも。
MTだったら1速、もしくはRに。ATだったらPのままにしておきましょう。
油断禁物
いかがでしたでしょうか?4WD、車高、高い走破性で雪道も余裕と思われがちなジムニーですが、しっかりと不得意分野があり、ほかの車と同じように雪道では気を付けないことが多くあります。
ジムニーの特徴の二面性をしっかりと理解して、今年の冬も無事故で乗り切りましょう!
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