トップギアでお馴染みの、ジェレミー、ジェームズ、リチャードの3人組が出演したことで話題になった”The Grand Tour”
その内容はトップギアと違うのか?トップギア本家の方はどうなったのかについて解説していきたいと思います。
トップギアとは
番組開始
登板組は1977年に開始されたイギリスの長寿番組です。当初は単なる自動車情報番組でしたが、1988年にジェレミー・クラークソン(以下ジェレミー)が参加してからは方向性が大きく変化し大人気番組となりました。
1998年にジェレミーが降板、2001年に番組はいったん終了しますが2002年に再びジェレミーが新たに番組を再スタートさせました。
毎週1回、1シーズン6~10回ほどで構成され、約1時間ほどの放送。シーズン間は数か月の期間があり、その間に次の撮影を行っていました。
内容
内容は、新車紹介、番組コースでのラップタイムの比較、車での実験、著名人たちのコースレコード対決など多岐にわたります。
ほかにも、数千キロ離れた目的地まで公共機関と車、どっちが早く着くかや、車に改造を施して過酷な旅をする長編スペシャルなどもあります。
「人生を諦めた人の車」「こんな車より竹馬をすすめる」「買う価値はない」など忖度なんて言葉はどこにもないような過激ともいえるレビューが特徴。
とはいえ、安い車もフェラーリのような高級車も、良いところと悪いところをはっきりと言ってくれるので見ていて参考になりますし、楽しいです。
実験コーナーでも奇想天外な企画で視聴者を引き付けました。自作の超小型自動車で図書館に侵入したり、車の内装を改良し「アン・ハサウェイの別荘」と名付けたり、さらには車を宇宙まで飛ばそうとしたりしました。
トヨタ・ハイラックスをビルの上から落とした耐久テストは、世界的にも有名なエピソードとなっています。
有名人レースではイギリスの著名人を中心に数々のスターも参戦。番組コースをお値打ち車(スズキ・リアーナなど)で走行しラップタイムを計測。F1ドライバーや、BGTで有名なサイモンや、Mr.ビーンのローワン・アトキンソンも走行。
『ハリー・ポッター』のダンブルドア先生でお馴染みマイケル・ガンボンが横転しそうになったカーブはガンボンコーナーと名付けられています。
やらかす3人と降板
その過激さゆえ、番組ではやり過ぎてしまうこともしばしば。
毒舌すぎるコメント、視聴者から借りたジャガーを壊して返却、カローラを銃撃、街中での迷惑行為など。どこまでジョーク・脚本で、どこから本当なのかわからないところも魅力ではあるのですが…。
しかし、これだけならよかったものの、2013年のビルマ特集での差別発言により訴訟。さらに2014年、パタゴニア特集ではフォークランド紛争を想起させるナンバープレートが報道されたことによって、アルゼンチンの退役軍人に襲撃される事態に。国外退去を余儀なくされ、アルゼンチン大使から公式に抗議されるなど深刻なトラブルに発展しました。
極めつけに、ジェレミーのプロデューサーの一人に対する暴力事件が表面化。今までの事件も重なり番組降板が決定しました。リチャードおよびジェームズも契約を解除。チーフプロデューサーのアンディ・ウィルマンも退職しました。
撮影の終了している未放送の回については、観客もいないままジェレミー抜きの二人で司会を務め、お決まりの曲も流れずにしみじみとした雰囲気で終了。これにて3人によるトップギアは幕を閉じました。
その後のトップギア
仲良し3人組のいなくなったトップギアは、まずイギリスで人気の高いクリス・エヴァンスを起用。その後マット・ルブラン、エディ・ジョーダン、サビーネ・シュミッツがオーディションで参加が決定されました。
2016年5月からスタートしましたが、視聴者からの評判はあまりよくなく、クリスとマットの中も険悪という噂。わずか1シーズンでクリスは降板してしまいます。
次シーズンからはスピンオフで登場していたクリス・ハリスとロリー・ロードの3人で司会を進め、番組の方向性ももとに戻りました。
その後も司会は変わり、現在はクリスのほか、コメディアンのバディ・マクギネス、クリケット選手のフレディ・フリントフの3人で番組の司会を行っています。
新生トップギア?
はじまったThe Grand Tour
こうしてトップギアを降板した司会者3人とアンディ・ウィルマン、多くのスタッフは実質アマゾンに移籍する形で『The Grand Tuor』が始まることとなりました。
空港に降り立ち切ない顔でマスタングを走らせるジェレミー、途中から2人が合流するシーンでは感動すら覚えてしまいます。広大なアメリカを走り次々と車たちが集まる豪華なオープニングには大金がかけられています。
当初の契約では1シーズン12話の構成で、3シーズンの製作費は3人のギャラを含めて200億円超え。Amazonの本気度がうかがえます。
変わらない過激さ
Amazonの傘下に入ったことであの頃の過激さは亡くなってしまったのか?全くそんなことはなく、インターネットのみでの公開ということもありより一層過激に。
第一話ではいきなりジェレミーの家が重機で取り壊された上に爆破され粉々に。この模様はニュースにもなり、近くでは葬儀も行ってたとか。
ほかにも多くの過激な企画を敢行。面白さについての心配は全く必要なく、トップギアで実験コーナーが大好きだった方はとにかく楽しめる番組となっています。
内容の違い
辛口の車レビュー、実験コーナー、長距離の旅などはそのまま。ですが、そのほか無くなってしまったコーナーや新しいコーナーも登場しています。
スタジオ
トップギアでは特定のスタジオを用意し撮影していましたが、グランドツアーではテントでの撮影に。持ち運び可能となったスタジオのおかげで、世界各地を巡回しながらの撮影となり、その土地その土地でのきわどいジョークも連発しました。
シーズン2以降は「司会者3人の加齢による体力低下を考慮した」という理由で、イギリス国内でテントを張り撮影をしました。
ザ・スティグとタイムアタック
トップギア内の人気キャラ”ザ・スティグ”。いつもヘルメットをかぶり、素顔は見せずあくまで備品扱い。その中身はプロのレースドライバーだとか。
そんなスティグの権利はBBCにあり、Amazonでは引き継ぎ不可能。V8以外の車は共産主義者と思っている『ザ・アメリカン』ことナスカードライバーのマイク・スキナー。
シーズン2からは「9か月間のオーディションを経て選ばれた最速の女性」ことアビー・イートンがテストドライバーを務めました。
また番組コースも刷新。イングランド・ロートンの飛行場跡に設置されたコースは、その形から「エボラコース」と呼ばれています。
有名人レース
残念ながら有名人レースもBBCが権利を持っているため引継ぎ不可。ですが、「セレブリティ・フェイスオフ」という新コーナーで形を変え復活しました。
トップギアでは1話の中で一人の有名人が走るのに対して、本番組では2人の有名人が対決する形でコースでのタイムを計測。キーファー・サザーランドvsクリス・エヴァンスなど多くの名勝負が生まれました。
そのほかのコーナー
そのほか、3人が主に自動車や時事ネタについて話し合うニュースコーナー的立ち位置の「カンバセーション・ストリート」。
有名人がなぜかスタジオにたどり着く前に事故に遭ってしまう「セレブリティ・ブレインクラッシュ」などがあります。
シーズン4以降
シーズン3まではトップギアの形を引き継ぐような内容でしたが、シーズン4からはトップギアで言うスペシャルのようなロケ撮影のみでの構成となり、番組時間も1時間ほどから90分ほどまで拡大されました。
シーズン4は4話製作され、エピソード1ではなんと車ではなくボートでメコンデルタを冒険。ほかにも、マダガスカルやスコットランドなど世界中を車で回りました。
ロケ撮影での見どころは、やはりその場での応急処置や地域ならではのトラブルなど。いつにもまして彼らの珍道中を心行くまで楽しめます。
現在はシーズン5がスタートし、スカンディナビア編・スロベニア中欧編がすでに公開されています。
グランドツアーでの事故
トップギアでもたくさんの事故(特にリチャード・ハモンド)を起こしてきた3人。ツッコんだり、横転したり、むち打ちになったり骨折したり。
最高速テストでジェットエンジンを搭載した「ヴァンパイア」に乗った際には464㎞でタイヤがバースト。一時重体に陥り、事故の影響で脳障害や記憶喪失など笑えないクラッシュも経験してきました。
そして、再スタートを果たしたグランドツアーでもクラッシュが発生したのです。
まずは慎重派のジェームズ・メイ。のろまが売りの彼がクラッシュしてしまうなんて想像できませんが、それが起きたのはシーズン5のスカンディナビア編。
ノルウェー海軍基地のトンネル内でドラッグレースをしていた時、ブレーキのタイミングが遅れてしまい、そのままゴールの壁に激突。
首の痛みを訴えすぐに搬送、ろっ骨を折るけがをしましたが数日後撮影に復帰。乗っていたランサーエボリューション8も廃車かと思われましたが、応急処置を施しこちらも復帰しました。
そしてもう一つ大きな事故が。それはシーズン2エピソード1での出来事。3人はそれぞれが選んだスーパーカーでヒルクライムレースをすることに。リチャードは2億円するベンチャー企業の電気自動車リマックの乗車しました。
レースは順調、リチャードはいい記録を出したかに思えましたがゴール直後スピードを落とさずにそのまま崖下に落下。音声、映像ともに残っており、まさに壮絶。言葉を失うほどの大クラッシュでした。
幸いにも、ひっくり返った車から自ら這い出て救出、すぐにヘリに乗って処置されました。ちなみに車は全焼でした。
いつもの3人
長年司会を務めてきた3人がトップギアを辞めてしまったというのはとても悲しかったですが、再びスタートを切ることができたのはとてもよかったです。Amazonのは感謝しかないですね。
年を取り、おじいちゃんに近づきながらも、BBCの足かせが無くなったことでより一層はっちゃける姿を見れるのもうれしく思います。
この3人だけの魅力が詰まった番組、これからもできる限り末永く続いてくれることは願うばかりです。
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